イエスの先祖の苦悩 |
1.アブラハム、見知らぬカナンに移動(紀元前1800年)
アブラハムはアラブとユダヤ民族の太祖である。彼は故郷バビロンの地(現在、イラク)にあるウルという町を離れ、「神を示す」未知の国へ出かけた。長い旅を経てカナン(現在、イスラエル)の地に定着した(創世記 12・1-7)。創世紀によるとアブラハムは、実現しえないようなことでも神が言われれば、それを信じた。彼が神に対するゆるがない信頼を示したので、神は、彼に一定の地を与え祝福で満たして無数の子孫を与えることを約束した(創世紀 17・1-8)。アブラハムに、イシュマエル(16・11)(アラブの先祖)とイサクが生まれた。
2.飢饉のため、ヤコブはエジプトに下る
イサクの子ヤコブはイスラエルとも呼ばれ(32・29)、彼に12人の息子が生まれた(35・23)。
その一人ヨセフ(37、44・33~45・8)はエジプトの高官になった(41・40)。イスラエルの子ら(レビ、ユダ、ヨセフ、など)はエジプトへ移住し(紀元前1720年)、12部族の頭になった(49・28)。
3. 隷属時代、エジプトからの脱出(1700年~1250年)
紀元前1700年と1250年の間、エジプトにおける隷属時代であった(出エジプト記 1・8-14,22)。赤ん坊のモーセはエジプト王女自らによって救い上げられ、育てられた(出 2・1-10)。
モーセは虐げられたヘブライ人と連帯感を持ち(2・11-12)、イスラエルの民をエジプトから解放する使命をいただいた(3・9-12)。やがて彼は紀元前1250年に、イスラエル人と一緒にエジプトから脱出して、紅海を歩いて渡った(12・29-40、13・17-20、14・5-8、14・10-17、14・21-23、14、26-31)。
彼らは30年間砂漠でさまよった。モーセはシナイ山で神と民との契約の仲介者となり、神から十戒を授けられ(20・1-17)、あこがれた“約束の地"に入らずネボ山で亡くなった(申命記34・1-5)。
4.短い黄金時代(1220年~931年)、分裂時代(931年~722年)
紀元前1220年ころ、モーセの後継者であるヨシュアはエリコの町をはじめ、約束の地カナン地方を攻め取った。油が注がれることによって初めて王になった人はサウルであった(サムエル上10・1)。1000年ころ、ユダの部族のダビデは王となり(サムエル記上16・1、5,b-13)、エルサレムを征服し、ペリシテ人とカナン人の戦いを続け(サムエル記下 5・25)、イスラエル国を建設した(サムエル記下 8・15)。950年ころ、ダビデの子ソロモン王はエルサレムの神殿を建立した(列王記上 6・1)。
930年に、北地方(イスラエル王国)は南地方(ユダ王国)と別れた(列王記上 12・16ー20)。
5.流罪と外国の統治の時代(紀元前722年~紀元70年)
紀元前722年~538年: イスラエルの民はバビロンに流罪された。(捕囚、詩編 137)
紀元前538年~333年: イスラエルの民はペルシアに統治されたが、ペルシャ王クロスは彼らの帰国を許した(詩編126、1-2,5-6)。
紀元前333年~ 63年: イスラエルの民はギリシアに統治された。
紀元前 63 年~紀元70年: イスラエルの民はローマに統治された。
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